大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)4613号 判決 1953年4月02日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大内亀太郎の上告趣意は判例違反を主張するけれども、第一審判決の認定した事実に副わない事実関係を前提とするもので、採用し難い。第一審判決は、要するに判示第一において、被告人が受領した木炭代金三万七千円中契約の木炭より品質の悪い木炭合計八七俵分の代金として一万六千九十五円を、同判示第二において、被告人が受領した木炭代金三万六千円中契約の木炭より品質の悪い木炭合計九〇俵分の代金として一万六千二百円をそれぞれ騙取したものと認定したものであって、交付した品質の悪い木炭を手段として約定の品質の木炭の代金に相当する金員を不可分的に騙取した場合であるから、その該当金員全額につき詐欺罪成立すること多言を要しない。されば、原判決の説示は、正当であって、所論判例は本件には適切でない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例